『違国日記』~少女よ、年齢差も国境も越えていけ~
今回の作品は、歳の差百合です!その差なんと20歳!ありがたすぎる!!!
『違国日記』
ヤマシタトモコ 著/FEEL COMICS swing
事故で両親を亡くした中学3年生の朝(あさ)は、母の妹である少女小説家の叔母、槙生(まきお/独身・35歳)に引き取られる。親戚たちに啖呵を切って、朝との同居生活をスタートさせる槙生だが、実は人見知りで…という、歳の差同棲百合をふんだんに楽しめる内容になっております。この設定だけで、ごはん3杯くらいいただけますね。ありがとうございます。
百合的においしいポイントは、中学生の朝ちゃんのほうが料理上手で圧倒的に生活力がある点と、朝ちゃんが槙生ちゃんのことを「槙生ちゃん」と呼んでいる点です。う~ん、おいしい…歳の差百合、おいしいよ…。
朝ちゃんにとって槙生ちゃんが謎の生き物になっているところも、リアルで良いなと思います。中学生にとっては、年上の女性ってわりと謎だよね…戸惑いながらも、槙生ちゃんに興味津々な様子が描かれているところ、たまりません。
ゆるーく生きてるように見える“普通の大人っぽくない”槙生ちゃんと、年齢のわりに落ち着きすぎている朝ちゃん。お互いに異邦人だと思っているであろう二人が、心の距離感をはかりながら、じりじりと近づいていく様子に、気が付くと惹きこまれ、目が離せなくなってしまいます。
恋人、親子、友人…そのどれでもなく、けれどお互いがお互いに強く影響を与え合う存在、という絶妙な関係を描けるヤマシタトモコ先生、さすがすぎる。
セリフ回しも何気ない同居生活の描写も、どれもこれもキラキラと光っていて、日常生活を中心に描かれる女性の関係ほど尊いものはないな…と思わされます。
着地点が全然読めないので、二人の関係がどんなふうに変化していくのか、ものすごく楽しみです!さらに百合方面に進んでくれると本当に幸せです。よろしくお願いします。
ヤマシタ先生の作品は、他にも百合っぽいものがたくさんあって、だいたいの女子がイケメンすぎてたまらないので、いずれ取り上げられたらいいな~と思います。
あと、百合には全然関係ないんですけど、コミックスの本文に使われている用紙がとても良質です…はんぱなく滑らかだし、厚いし、すごい…。これがヤマシタトモコ先生の力…。
新たな百合との出会いに乾杯~!